イラン地域はアケメネス朝ペルシア⇒セレウコス朝シリア⇒バクトリア・パルティアと続いていくんだけど、今回は先にバクトリア・パルティアに取り扱うよ!
※サクッとポイントを押さえたい人は↓をタップ
★この範囲のあらまし
この範囲は、前3世紀ごろから紀元3世紀までの間にセレウコス朝シリアの土地から勃興したバクトリアとパルティアがテーマとなる。
バクトリアは紀元前3世紀から紀元3世紀の間イラン高原に建国されたギリシア系国家である。最盛期のバクトリアはインドのマウリヤ朝衰退に乗じてガンダーラ(現在のパキスタン付近)にまで進出したことで、ギリシアのヘレニズム文化をインドに伝え、ガンダーラ美術に大きな影響を与えた。
また、パルティアは紀元前3世紀から紀元3世紀の間イラン高原を支配したイラン系国家で、セレウコス朝シリアから独立し、その後は第一回三頭政治の一角であるクラッススを破るなどローマとの対立を続けた王朝である。
最終的にバクトリアは大月氏に、パルティアはローマとの戦乱で衰退しそれに乗じたササン朝に滅ぼされた。
受験的には覚えることはほとんどないからサクッと終わらせてOK!
ただ、歴史的にはガンダーラ美術を生み出すきっかけを作ったり、第一回三頭政治下のローマにおける権力争いに影響を与えたりと重要な二つの国でもあるのでしっかりと押さえよう!
★この範囲で覚えること
<バクトリアとパルティア>
バクトリアとパルティアについて覚えるべき事柄はバクトリアとパルティアの概要についてである。
バクトリアとパルティアについて、覚えておくべき事柄を以下の表にまとめた。
スクショポイント:バクトリアとパルティアの概要
国名 | 建国者 | 民族系統 | 覚えるべき事柄 |
バクトリア | ― | ギリシア系 | アム川上流に建国 ヘレニズム文化をインドに伝えガンダーラ美術に影響 大月氏に滅ぼされる |
パルティア | アルサケス | イラン系 | 都をクテシフォンに置く 中国名:安息 ササン朝に滅ぼされる |
※太字は覚えておくだけでよい
バクトリアは「アム川上流に建国したギリシア人」という表現で、パルティアは「中国名で安息と呼ばれる」という表現で聞かれやすいと知っておけば問題なし!
以上が、<バクトリアとパルティア>について覚えるべき事柄である。
★私大(March・関関同立・早慶上智ICU)対策のための用語
以下に、難関私大でのみ必要となる用語を掲載しておく。国公立受験者には不要なものなのでスキップしてよい。
<バクトリアとパルティア>
・バクトラ…バクトリアの都。現在のバルフ。
・ミトラダテス一世…パルティア最盛期の王。
★学習確認Stepテスト
以下に、この範囲で暗記すべき事柄に関するミニテストを用意した。すべて暗唱できるようになるまで反復すれば、この範囲でもう学習することはない。
Step1:バクトリアとパルティアの概要
バクトリアとパルティアについて、その建国者、民族系統、覚えるべき事柄をそれぞれ答えよ。
Hint:バクトリアとパルティアについて覚えるべき事柄はそれぞれ3つずつある。
★はっつんの編集後記
バクトリアとパルティアは受験知識としては一瞬で終わる国なんだけど実は歴史的な意義がめっちゃ深くて笑う。(ガンダーラ美術は日本にも大きく影響を与えているし、パルティアとローマの争いはカエサルを筆頭とするローマのの権力争いにも大きく影響している)
地理を意識すると、なぜカスピ海にギリシア人が国を建てられたのか不思議に感じられるんだけど、アレクサンドロス大王が無理くりギリシア人を入植させていたらしい。(すごいな…。)
ちなみに、パルティアの支配地域はイラン高原メソポタミア地域にまで及んでいて、まさに東西交易で繁栄した典型的な国家である。交易路というおいしい地域を押さえると、その利益をめぐってよそからめちゃくちゃ侵入を受ける。ローマとクシャーナ朝の二正面作戦をしながら500年以上も国を維持できたのはそれだけ交易路を押さえることが繁栄につながることのあらわれだね。
受験としては本当にちょろっと覚えればおしまいなので、ちゃちゃっと覚えてしまってね。
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