1-31ローマ共和政の動揺-古代ローマ世界②

Colosseum_in_Rome_Italy世界史
ローマ:コロッセウム
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この記事はテストや入試のために

ローマ共和政の動揺の概要を知りたい人
ローマ共和政の動揺について整理したい人
ローマ共和政の動揺についての知識を確認したい人

の役に立ちます。

はっつん
はっつん

ホルテンシウス法の制定によって国内の身分闘争を終わらせたローマは対外進出に本腰を入れるんだけど、逆に平定した身分闘争を新たな形で招き入れてしまうよ。
今回はその前日譚にあたる部分だ。

※サクッとポイントを押さえたい人は↓をタップ

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★この範囲のあらまし

この範囲は、ローマ共和政の動揺がテーマとなる。

ホルテンシウス法の制定による国内の身分闘争を終わらせたローマは全272年にタレントゥムを制圧することによりイタリア半島の統一を実現する。
半島の統一後は対外進出に乗り出しポエニ戦争によってまずはシチリア島を、次いでマケドニア、ギリシアをその支配下に入れた。
遠征において主力となったのはイタリア本国の中小農民たちであったが、外遠征中の農地は放置されていたため戦争の長期化により農地は荒廃し農業用地として利用できなくなり、多くの農民は農地を手放したうえで無産市民となってしまった。
無産市民となった彼らは都市に流れ込むとローマ市民としての権利を行使し、属州から輸入される安い穀物を得ることがきた。しかしながら、この安い穀物は新たに属州となった土地から簒奪されたものであり、属州の拡大が止まるとなくなってしまうモノでもあった。そのため市民はますます属州の拡大を望み、一方で政治家たちは票を得るため彼らに迎合した。
一方、元老院議員や騎士身分の者たちは放棄された農地を買い集めたり、対外戦争で得た公有地を占有することにより奴隷を用いたラティフンディア(大土地経営)を行い、商品作物の生産などによって大いに富みを得た。属州の拡大が富の拡大に直結する彼らにとって、対外戦争は極めて望ましいものであった。

このように貧者からも富者から望まれた対外戦争はますます拡大し、それとともに貧富の差も際限なく拡大していった。

しかしながら、武器を自分たちで用意し参戦することが当然であった当時、国防軍の主力であった中小農民の没落は武器を用意できない人間の増加を意味した。そのため国防軍の力は衰退し、結果、各地の有力者は自前の資産から無産市民を傭兵として雇い入れることが常態化した。

この結果、統率を失ったローマは各地の奴隷の反乱に困らされ、ついで国内においても私兵を用いた暗殺などが頻発する動揺期に突入した。

この範囲を理解するうえで必要なこと
  • ホルテンシウス法成立から内乱の一世紀の間に起きた事柄を整理する
はっつん
はっつん

以下の部分を読む前に、当時は「戦争参加に武器は自弁(自分で用意すること)」が当たり前だったことを思い出しておいてね!

★この範囲で覚えること

<ローマ共和政の動揺>

ローマ共和政の動揺について覚えるべき事柄は、ホルテンシウス法制定から内乱の一世紀までのつながりについてである。

ローマ共和政の動揺について、覚えておくべき事柄を以下の表にまとめた。

スクショポイント:ホルテンシウス法制定から内乱の一世紀までのつながり

主な出来事説明
ホルテンシウス法の制定貴族と平民の身分闘争の終わり
イタリア半島の統一タレントゥムの制圧により統一が完了し、対外進出へ
ポエニ戦争シチリア・ギリシア・マケドニアの属州化
戦役で中小農民が没落し、無産市民化
ラティフンディア(大土地経営)の成立有力者による公有地の買い占めと市民の貧富の差の拡大
傭兵制度の導入武器自弁の原則が崩れ無産市民の職業軍人化、有力者による私兵の雇い入れ(傭兵化)が進む
内乱の一世紀私兵持つ有力者同士の政争激化
国内の混乱に乗じた奴隷や属州の反乱の激化
※赤は書けるレベルで暗記必須
※太字は覚えておくだけでよい
CHECK
  • 「パンと見世物」とは、都市に流入した投票権を持つ無産市民に対し、政治家が属州から搾取した食料や金品をばらまき大衆に迎合した政策を行ったことを指す。
  • 武器を自弁できない人間を有力者たちが傭兵として私兵化したことにより、政争による護民官の暗殺などが起こりローマは大きく動揺した。
はっつん
はっつん

国内外における対立・反乱の激化に際して、元老院を味方につけ伝統的な体制を守ろうとしたのが閥族派、無産市民や騎士階層を味方につけ民会をよりどころとしたのが平民派になるよ!次の範囲のお話につながるので、大まかにここまでの流れは把握しておこう!

★私大(March・関関同立・早慶上智ICU)対策のための用語

ローマ共和制の動揺
・タレントゥム…イタリア半島が統一された際、最後に征服された都市の名前

★学習確認Stepテスト

以下に、この範囲で暗記すべき事柄に関するミニテストを用意した。すべて暗唱できるようになるまで反復すれば、この範囲でもう学習することはない。

Step1:ローマ共和制の動揺

ホルテンシウス法制定から内乱の一世紀にかけての大まかな流れを、「ホルテンシウス法・イタリア半島の統一・ポエニ戦争・ラティフンディア・中小農民の没落・傭兵制度・内乱の一世紀」という用語を用い記せ。

★はっつんの編集後記

政治って難しい。
ローマが国内の政治制度を共和政に整え、イタリア半島の統一を統一し対外戦争を行った、ここまではイメージがしやすい。だが、対外戦争を進めることで農地が荒廃し、兵士として参戦した農民の職は失われ、彼らの身分を貶めてしまった。職を失った彼らにはローマ市民として投票権が保証されており、生きる糧を得るためにさらに身分を貶める対外戦争を支持し、パンと見世物に踊らされる。そして訪れたのは国の衰退と、共和政の崩壊。
うーん。政治って難しい。

はっつん
はっつん

こういったところからも歴史から学ぶことって多いよね。詳しくは政治学の領域になっていくから、興味のある人は積極的に学んでみよう。

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